9月25日(水)、コミュニティ立ち上げのスタートとなる、「第1回 SAGA DX リーダーズ」を開催しました。佐賀県内で事業変革につながるデジタル活用を実現されている企業3社をお招きし、「成功事例から学ぶ利益爆増『変革経営者の実践秘話』」をテーマに、変革を成し遂げた経営者たちは一体何を考え、どのように行動してきたのか?お話を伺いました!経営者自らが先頭に立ち、走り続けるDX推進企業変革への「本気度」を社員に示す(坂田)企業変革を実際に遂行してきた3名の経営者の方に、お話を伺っていきたいと思います。初めに芹田社長に伺います。事業変革に至ったきっかけや経緯など、お伺いできますか。(芹田社長)2008年、2009年頃に「事業変革をしなきゃいけない」と感じ始めました。東京の企業で働いてから家業に戻った時、経営がとても良い状態とはいえず、どこから手をつけるべきかというところでした。データもなくすべてがアナログな状態で、まずはデジタル化が必要だと感じたんです。最初は国内ベンダーに依頼し、会社の課題に合わせて構築したものを導入したのですが、実質的にはエクセルと変わらず、紙がデジタルになっただけで、会社自体は何も変わらない状況でした。そこで、2012年にSalesforceを導入し、大きく方向転換しました。おそらく建設業界では初めての導入だったのではないかと思います。業務の停滞や、売上や粗利が全く上がらない状況があったこと、承認のない見積書が独り歩きしてしまうことを回避し、承認・発行のプロセスを適切に進める必要性があったこと、この2つの課題感があり、デジタル化による業務改善を図る必要性が高まりました。(坂田)営業部門で従事されたあたりでの、事業変革だったのでしょうか。(芹田社長)家業に戻った際は工事部、その後営業部門、管理部門へと移りました。営業と管理の両方を経験したのち、事業変革を進めてきました。(坂田)ありがとうございます。平川社長はいかがですか。(平川社長)2011年に会社を変えなければならないと感じ、2012年にChatworkを導入しました。当時は紙やポストイットでの電話連絡が主流で、情報が滞ることも多かったため、「いつでも、どこでも、誰でも」を根底に掲げ、情報を共有できる環境を作ろうと思いました。まず物的環境を整えるために、会社内の不要なものを一掃しました。「今からいらないものを捨てるぞ」と宣言し、過剰にある輪ゴムやボールペンなど、10箱以上の不要物を処分しました。社員は社長の本気具合を感じたと思います。まずは環境の変革から始めました。何か新しいことをしようとすると、社員は反対しますね。社長として「いいものは使ってみる」との思いで、まずは強制です。ところが数年経った今では、「ChatWorkは外せない」と社員は言うようになりました。やはり、経営者や経営陣が率先してDXを推進し、改革を進めていくことが重要かと感じています。(坂田)ChatWork、kintoneと導入していったかと思うんですけど、最初、社員からの反対はあるけれど、それはどんどん進めていこう、というやり方でしたか?(平川社長)社長と社員の間には認識の違いがあると思います。社長が良いと思ってそれがいかに良いかを説明しても、社員には理解されないことが多いんですね。環境整備もした上で、時には強制することも必要な面がありますね。(坂田)元々そのようなツールやソフトが好き、ということでしたか?(平川社長)いや嫌いですよ。私は仕事が嫌いだったので。DX を使ったのは、一生懸命働くことを重視するのではなく、効率的に成果を上げる方法に重きをおいて考えるようにしました。(坂田)ありがとうございます。(坂田)山口社長は、この事業変革をされる中で何かきっかけみたいなところがあったのでしょうか。(山口社長)初めは基幹システムにおけるDocuWorksの導入でした。売約伝票を印刷して製造部や組み立てへ流すことから始めました。その後、グループウェアとしてChatworkやSalesforceなども導入し、今後はそれらをどうやって連携・統合していくかが課題です。Excelを活用する社員もいればスプレッドシートを活用する社員もいるという状況で、個人グループで終わってしまい、全社に波及しないんですね。また、先ほど芹田社長のお話にもありましたけれども、クラウドサインなどを活用して契約関連の適正化に対応できるシステム作りを進めていく必要があると感じています。現在の基幹システムに付随したものを連携させ、ソフト間の統合を図り、更なる効率化を進めることが今後の課題です。(坂田)基幹システムを社内で作られているというのは、どういう背景からですか。(山口社長)鉄骨やテントなどの製造を主な事業としている会社なので、原価抽出をいかにやるか、どうやってやるか、ということが課題でした。そこで全てを連携してできるようなものを、ということになり2年前に社内で作ったという経緯ですね。(坂田)なるほど。ありがとうございます。山口産業さんは、内製でいろいろされているなというイメージがありますね。デジタル化が目的ではないDX推進の向こう側にある未来と思い(坂田)お話を伺って、お三方ともに事業変革に取り組む中で共通しているのは、経営者が先頭に立って走られている、という点ですね。山口社長は、ご自身が今でも営業に出られていて、社員目線でツールの良し悪しを評価をされていたり、芹田社長はSalesforceを導入するにあたって、5、6年をかけてトライアンドエラーを繰り返しながら現場で社員に説明して、また戻って、と繰り返された。平賀社長もkintoneを活用し、最近はAI営業支援ツール「Front Agent」を紹介するなど、積極的に情報収集を行っています。トップ自ら事業変革の先頭を走られてる、ということが肝だと思っています。なぜそこまでやり続けられるのか、そこまでやり切れるのか、意図的に意識されていることなどを改めてお聞きしたいなと思います。(芹田社長)会社の状況が良くなかったため、早急な改革が必要でした。DXを進めるには、意思決定を誰かに任せるのではなく、トップが自ら取り組む姿勢が重要です。現場に行って帳票内容やレポートラインを確認し、本当に必要なものとそうでないものを明確化する、変わることで文化や風土も変わっていくということが必要だと思います。取り組むことだけが目的ではなく、実際に変わっていくことがDXの根底であり、本当に変えていくという姿勢が非常に重要かな、と考えています。(坂田)デジタル化を推進していく一方で、アナログについても意識されている、と伺ったのですが。(芹田社長)デジタル化の行き着く先には、逆にアナログの重要性があると思います。デジタルでできない部分、特に人間らしい温かみを持ったコミュニケーションが必要かなと思っています。メールで伝える内容をあえて手紙で書くことで、心のこもったものとなったり。年2回の賞与、営業での当別賞与などの支給時に、社員全員に手紙を書いています。セリタ建設と岩忠建設の2法人で160名分です。そのためには面談を実施して理解を深めるなど、デジタルではできないものだと思っています。(坂田)ありがとうございます。芹田社長の著書の中で印象に残ったのが、 DX は合理的思考で時間の問題、ある程度のところまでデジタル化が発展して各企業がそこに追い付いた先にあるのは、アナログ、人の温かみといったもの。そこを見据えて事業展開されているという話を読んで、私自身、インターネットバンキングを大いに活用してきたので、見習わないとなと思っていました。平川社長は事業変革で意図的に意識されていることなど、いかがですか。(平川社長)事業変革を「改善」と「改革」に分けて定義しています。改善は既存のものを少し良くすること、改革は新しいものを創造することです。この考え方に基づき、ここ10年くらいSalesforceや様々なツールを活用してきましたが、最終的に自社のニーズに合ったものがなかなか見つからず、Kintoneに辿り着きました。不動産業のフランチャイズ「イエステーション」に加盟しているのですが、加盟企業のうち10%がKintoneを利用しています。社長自身が新しい情報を積極的に取り入れ、社員に伝えることが重要です。部下に任せるのではなく、社長が先頭に立って新しい技術や情報を導入することで、社員も動くのではないですかね。新しいツールの導入に抵抗がある社員に対しては、経営者が率先して使い良さを示していくこと、社員全体で情報を共有していくことが、やはり大事かな、と思います。(坂田)平川社長の方で改善と改革のお話を伺ったのですが、改めて改革というキーワードは、経営者トップ自らが走ってどんどん整理していくことが、社員さんにとっても道しるべになる、ということですかね。(平川社長)社員にも、改革をしようと言っていますね。言葉の定義で、改革と改善とはこういうものだ、と伝えています。経営計画書においてDXに関する方針もあり、社長の考えを文章で見える化するということもしています。今年から経営計画書を手帳から移行しkintoneに記して、社員が見られるようになっています。(坂田)ありがとうございます。(坂田)山口社長は、実際に営業として沖縄の方にも行かれてると伺ったのですが、改めて意図的に意識されていることなど、いかがですか。(山口社長)業務において営業が7、8割を占めているので、業務改善に対する意識が強いですね。見積もり作成や注文書送付など、多くの業務に携わるため、自分が使いにくいと感じる点を改善したいと思っていて、新しいソフトを導入したり改善したりしています。社内連絡を全てチャットで行うことを、経営者会議で決めました。最初は面倒さを感じましたが、実際には効率的に連絡が取れることが分かりました。ただ、膨大なやりとりにもなるため、時には勘弁してほしい、ということも。その一方で、新しいものを導入する際には、古いものを整理し業務を簡素化することが重要だと思っています。コストの面でのもったいないという意識を捨て、不要なものは捨てて必要なものはとり入れる。結果的にかえって手間が増えたということは避ける、というのが持論ですね。(坂田)ありがとうございます。私が一番感じたのは、良いツールなどの決済スピードがとても早いといいますか、それがゆえに、先ほどのお話にあったようにツールがちょっと煩雑になってきたっていうところもあると思うのですが。改めて社員から上がってくる提案に関して、判断から導入までどれぐらいの速度感で回されていますか?(山口社長)良いとなったらすぐ入れる、というのが基本的な考え方なんですね。私が判断できない部分もあるんですけど、話を聞いて進めようということになれば、とりあえず導入する。少人数で実践してみて、それがうまくいけば社内全体で回す、という考え方が基本ですね。(坂田)なるほど。プロジェクトは今、10いくつでしたか?(山口社長)プロジェクトは今、19個ですね。うちはプロジェクトで回ってるような会社です。(坂田)132名の会社でプロジェクトが19もあるんですね。なかなか想像がつかないです!(山口社長)プロジェクトが何なのか、という話になってくるんですけど、新製品でのマーケティングや商品の販売戦略を練ったりなどをやっているので、悪いことではないとは思ってるんですね。どんどんやりなさいっていう形で、今進んでます。(坂田)ありがとうございます。